イチゴいちご

イチゴはバラ科の多年草です。農業の分野では、イチゴは果物でなく、草本性の植物であるので野菜として扱われます。の多年草。 イチゴの種子は、表面にある小さな粒々のものがそうで、食べている部分は花托です。
今年は埼玉県で育成された品種「あまりん」と「かおりん」がほとんどとなっています。両品種とも従来の「とちおとめ」や「やよいひめ」と比べて糖度が高く美味しいいちごです。「かおりん」は糖度も酸度も極めて高く濃厚な味です。
育苗
自家育苗している苗は、こちらです。5月まで収穫したいちごから発生したランナーを7月下旬からミズゴケに植え付け発根させます。肥料は液肥で行います。今年の夏は、猛暑なので水やりが大変です。1日2回液肥を入れた水をやるようです。
定植
県内の農家にも協力をお願いして、9月15日から苗を植え付けました。いただいた苗です。
今年の品種構成は、「あまりん」が7割、「かおりん」が2割、「とちおとめ」が1割となっています。
植え付けた様子です。高設栽培といって、プランターの中に培地を入れ、灌水チューブで定期的にみずをやります。腰をかがめた作業でないので楽なのと、収穫体験をするのも楽です。土耕栽培と比べて味はどうかですが、理論的には、土耕栽培は黒マルチしてある地表面の温度が高くなるのに対して、高設栽培は空中にあるため果温が上がらずじっくりと実が熟するため、高設栽培の方が美味しくなるかも知れません。
植え付けると、ランナーが次々と出てきます。開花するまでは、次々とランナーが出てくるので取ってやります。
開花
「とちおとめ」は10月10日から、「あまりん」は10月18日から、「かおりん」は10月20日から少し咲き出しました。イチゴは媒介昆虫がいないと受粉せず、種子ができないと実が大きくなってくれません。ごつごつした奇形果になるのは、うまく受粉していないからです。
受粉を手伝うためにミツバチをハウスの中に入れます。10月23日にミツバチの巣箱を借りてハウスの中に入れることにしました。それまでは、しょうがないので筆でめしべに花粉を付けてやります。
ミツバチ導入
10月23日に川島町の養蜂家から受粉のためにミツバチを借りました。手前はえさとなる砂糖水です。
なかなか、ミツバチも環境に慣れず苦労しています。
ミツバチをハウスの中に入れてから、1週間立ちイチゴの花を訪れ、受粉作業をしてくれるようになりました。
天敵導入
イチゴの重要害虫であるハダニの防除はなかなか苦労します。ミツバチがいるのでやたらな農薬は使用できません。もう保温開始から葉の一部にハダニが見られたので、気門封鎖剤を散布後、天敵を導入することにしました。
天敵は生き物ですから、定着させることはなかなか難しいです。私も40年前、まだ天敵の活用が試みられている時代に現場で試したことがありますが、天敵(チリカブリダニ)が増えずに、ハダニが増えてしまい大失敗をしたことがあります。
今回使用したのは、ミヤコバンカーでミヤコカブリダニの住み家とセットになっているものです。上手く活躍してくれると良いのですが。
成熟期
もう「とちおとめ」は赤くなった果実が見られるようになりました。本格的に収穫体験を始めるのは12月からになりそうです。
今年の夏は、暑くてイチゴの花芽分化は遅れると予想されており、収穫期も平年より遅れると予想されていましたが、実際は平年より早く花芽分化も始まり、収穫期も早まりそうです。
花芽分化が早まったのは、8月18日からの数日間、気温が低下したことによるものと考えられますが、猛暑のストレスとも関係があるのかも知れません。
開花が早く、あまり株ができていないため最初の実は小ぶりです。
収穫期
「とちおとめ」は11月14日から収穫体験を行いました。「あまりん」は12月9日から、「かおりん」は12月16日から収穫体験を開始しました。
暖冬で、ハダニ類の発生が多く、ミヤコカブリダニが食べてくれるよりハダニ類の増殖が上回ってしまいました。仕方がないので、ミツバチにも人間にも害が少ない、気門封鎖剤(オイルやデンプンで気門を封鎖して呼吸できなくする剤)を何回か散布しました。
また、灰色カビ病も発生が見られたので、ボトキラーという生物農薬の散布を行いました。
「あまりん」は脇芽をとらなくても良い省力品種ですが、「かおりん」は脇芽が多い品種なので、12月16日に脇芽を整理しました。もう少し早く整理する必要がありました。
1月4日にNHKニュースで農林公園の「あまりん」「かおりん」が紹介されました。
人により「あまりん」「かおりん」のどちらが美味しいか分かれますが、両品種ともびっくりする位、本当に美味しい品種です。育成者の尾田さんを褒めたいです。
「かおりん」
「かおりん」は糖度も酸度も高く、濃厚な品種です。農技研の調査では、現在ある品種の中では、抗酸化物質であるポリフェノールが最も高いとされています。しかしながら、収量は「やよいひめ」等に比較すると3割程度少なく、収穫時期も遅く1月からの収穫とされています。
しかしながら、栽培してみた感じでは、株によってはこのように多数の花が着き、収量も期待できます。また、定植前の10日間程度低温処理することにより、12月中旬からの収穫が可能になります。育苗時から定植まであまり肥料を切らさないようにすることで、花数を確保できるような気がします。また、ウイルスフリー化によっても収量増が期待できるのではないかと思います。「かおりん」がまぼろしの品種にならないため、栽培の研究が必要かと思います。
中休み
「あまりん」は、第1花房の収穫がほぼ終わって収穫は中休みです。農林公園のハウスでは、日長を長くするための電照や暖房もきちんとはできないので、第2花房が開花してくるのが遅れています。
「かおりん」も3月上旬の収穫は中休みです。今、また花盛りなので1か月程度で収穫の山が来ると思います。
第2果房の収穫期
3月中旬から第2果房の収穫期を迎え、収穫量が増加してきました。これは「あまりん」ですが、40グラムを超えています。
写真は3月30日の状況ですが、赤いイチゴが鈴なりです。4月中旬まで収穫が多く見込まれます。