中津川県有林

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概 要

 中津川県有林は、秩父市中津川に位置し、標高は約570~1,750mで、日本百名山の両神山や紅葉やツツジで有名な中津川渓谷も県有林内にあります。

 亜高山帯の針葉樹林から落葉広葉樹まで、県内有数の天然林がまとまって残っている地域で、多様な動植物の生息・生育地としても貴重です。

 現在は、彩の国ふれあいの森として、県民の皆様に親しんでいただくため整備をしています。

 中津川県有林面積 3,009.75ha(旧大滝村森林面積33,098haの9.3%)

樹種 面積 ha 割合 % 蓄積 m3 備考
人工林 スギ 93.99 3.1 38,056
ヒノキ 517.62 17.2 140,660
カラマツ 206.18 6.9 46,931
その他
(サワラなど)
11.13 0.4 5,107
828.92 27.6 230,754
天然林 針葉樹
(モミなど)
308.39 10.2 108,815 大山沢はシオジ、イヌブナ等の原生林に覆われている。
広葉樹
(シオジなど)
1,812.51 60.2 238,392
2,120.90 70.4 347,207
その他 59.93 2.0 道路数、防火線、岩石地等
合計 3,009.75 100.0 577,961
人工林 [樹種]スギ [面積 ha]93.99 [割合 %]3.1 [蓄積 m3]38,056
人工林 [樹種]ヒノキ [面積 ha]517.62 [割合 %]17.2 [蓄積 m3]140,660
人工林 [樹種]カラマツ [面積 ha]206.18 [割合 %]6.9 [蓄積 m3]46,931
人工林 [樹種]その他(サワラなど) [面積 ha]11.13 [割合 %]0.4 [蓄積 m3]5,107
人工林 計 [面積 ha]828.92 [割合 %]27.6 [蓄積 m3]230,754
天然林 [樹種]針葉樹(モミなど) [面積 ha]308.39 [割合 %]10.2 [蓄積 m3]108,815 [備考]大山沢はシオジ、イヌブナ等の原生林に覆われている。
天然林 [樹種]広葉樹(シオジなど) [面積 ha]1,812.51 [割合 %]60.2 [蓄積 m3]238,392 [備考]大山沢はシオジ、イヌブナ等の原生林に覆われている。
天然林 計 [面積 ha]2,120.90 [割合 %]70.4 [蓄積 m3]347,207
その他 [面積 ha]59.93 [割合 %]2.0 [備考]道路数、防火線、岩石地等
総合計 [面積 ha]3,009.75 [割合 %]100.0 [蓄積 m3]577,961

 

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県有林運営方針

 県有林は、全てが秩父多摩甲斐国立公園地域内にあって、風致維持上の観点から公益性を重視した施業を行う必要があり、木材生産機能と公益的機能の地域を区分し、地区ごとに施業の基本方針を明確にしています。

保全林地 風致保全林地266.70ha9.0% 国立公園特別地域の風致を維持保全するため、景観を妨げる障害木や倒木等を除去し、修景木の植栽等を行うとともに歩道を整備して立ち入り者の安全を図る。
森林保全林地1,402.54ha47.6% 集団的森林の保全を目的として、環境維持のための障害木を除去し林分整備を行う。巡視道を完備するとともに災害の発生・林地の荒廃を予防する。
施業林地 特別制限施業林地123.08ha4.2% 国立公園第2種特別地域で、人工造林地は小面積皆伐とし、天然林の伐採は行わない。運営は自然公園法施行規則に基づく。
制限施業林地1,157.50ha39.2% 公益的機能を考え併せ天然林の伐採は、一部の造林最適地とする。人工林地においては保育事業を充実させ、皆伐事業を行って良質材の生産を行う。

県有林管理計画書(H20.4.1~)の数値参照

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経 緯

 中津川県有林の母体は、明治の中頃までは中津川地域の共有林の一部であったものが幾多の変遷を経て、明治39年頃本多静六博士ほか2氏の所有となり、ヒノキやサワラなどの植栽が行われ、昭和5年、本県に寄贈されたものです。

 県では、昭和7年に中津川県有林管理条例を公布施行するとともに、本多静六博士の寄附の条件である秀才教育のための「本多静六博士育英基金」を翌年設置し、寄贈された森林からの収益の一部を基金に繰り入れてきました。

 その後、一部隣接地の買収や寄贈などもあり、中津川県有林の面積は現在に至っています。

本田静六

【寄附希望条件】

  • 本林中の一部中津川本流に沿いたる景勝地の森林は風致林として永く保存せられ且林道開さくその他により当地方の開発を図られたき事。
  • 本林を経営の上純益の一半を積立て利殖し置き総額100万円に至りたる上は秀才教育の財団法人を組織せられたき事。
  • 右財団は年々生ずる利子の4分の1以上を元資金に加えられたき事。
  • 該財団の元資金より年々生ずる利子の4分の3以内を以って先ず苦学生中の秀才に補助し進で一般教育並びに学術研究の資に供せられたき事。

本多静六博士奨学金制度について

 本多静六博士の寄附希望条件の一つである育英事業については、「中津川県有林のうち、博士の寄附に係る地域の人工林の立木売り払い代金の3割に相当する額と、天然性林の立木売り払い代金から当該売り払いに要した経費を差し引いた額を加えた額」を基金として積み立てています。現在もこの運用収益と貸付金の返還金をもって貸付を行っています。

 貸付対象者は、埼玉県人で、経済的な理由で修学困難な状況にあり、かつ成績優良な人となっています。

 ※詳細は埼玉県森づくり課ホームページをご確認ください

 昭和29年度に貸付けを始めて以来、これまでに2,000人以上の利用があり、本県の人材の育成、輩出に当奨学金が貢献しています。

本多静六博士について

 本多静六博士は、1866年(慶応2年)に現在の久喜市(旧菖蒲町)で生まれました。9歳の時に父親を亡くし、苦学して東京山林学校(現在の東京大学農学部)を卒業、ドイツへ留学しました。

 帰国後、東京大学で林学や造園学を教え、明治32年には日本の最初の林学博士となりました。

 研究活動のほかにも、東京都水源林の造成や明治神宮の森づくりを指導するなど実践面においても幅広い活躍をしました。

 また、日本最初の西洋式公園である日比谷公園をはじめ大宮公園など全国で200余りの公園を設計・改良したことでも
知られています。

本多静六博士年譜

  • 慶応2年菖蒲町に生まれる
  • 明治25年ミュンヘン大学で博士号を取得
  • 明治32年日本最初の林学博士の学位を取得
  • 明治34年東京府水源林経営監督となる
  • 明治36年日比谷公園開園
  • 大正4年明治神宮造営局参与となる
  • 昭和5年秩父に所有の山林を埼玉県に寄附
  • 昭和27年静岡県で逝去(85歳)